2013年6月27日木曜日

カラーの失敗要素

カラーリングが上手くいかない時の理由としては大きく3つあると思う。1つは二剤不足。特にハイトーンになればなるほど二剤不足のアドバンテージは大きく、特に太い髪質には多めの二剤+やや明るめの選定が必要。2つめは温度管理、夏はエアコンが効いている為室温が低くなり、反応も鈍くなりやすい。パーマキャップなどして温度調整が必要だと思う。3つめはハケ塗り、ハケ塗りは作業効率は高いが、塗り残しが発生しやすい。特に密度の高い毛髪にはコーム塗布をすると上下左右にカラー剤が入り込み、しっかり色味が入りやすい。ハケ塗布は上下のみなので行き渡らない部分がでてきてしまう。

2013年6月26日水曜日

続・複合還元

最近になり使い始めた複合還元剤、時代としては1〜2年遅いかもしれない。しかし、煮詰めてから使用するのと、ぱっと使いでは対処できるかできないかに雲泥の差がでてくる。複合の良さは狙った強さで思いどうりに一発でかかる事。濃度の強弱だけでいけるのでこれほど簡単なパーマ剤はいまだかつて無い。ただし前記事で記した通り毛先の処理をどうするかと、匂いの問題が残っている。毛先の処理についてはF-レイヤーと言われる部分の脱脂が考えられる為、ペリセア、タンニン、アルキルケラチン、アルガニアオイルの添加、エルカラクトン、補強としてポリクオタニウム類、R-ST、アクアフィルム、グリコシルトレハロースなどが挙げられる。一時的な脱脂なのでそこまで神経質に考えなくてもいいので、ペリセアやオイル添加、タンニン辺りが手を出しやすいと思う。臭いについては、オイルやタンニンあたりで効果があるかもしれない。ちなみに過水でも匂いは取れなかったので、早急に対処すべき課題になる。

2013年6月25日火曜日

スピエラの必要性

先日地元山形において、ストデジの巨匠パリスさんの講習に参加。並のケミカル知識ならケミオタという称号を与えられるが、パリスさんとMAGOさんは美容師の中でも群を抜いた知識量に置いて美容師達からは尊敬の眼差しで"巨匠"と讃えられる。パリスさんは技術のみピックアップされがちだが、理論講習にこそその真髄があり、我々を新たなステップへと導いてくれる。二人のコラボがいずれまた再開して欲しいと切に願いながら、スピエラの重要性。今まで紹介してきた施術方法でもなかなか曲がりにくい髪というものが存在することがあった。私としては理解はしていたが、スピエラの高額なコストもあり、踏み込むに至らなかった
。チオでもいずれは攻めれるけれども、疎水領域に到達する頃にはハイダメージに見舞われる。それをスピエラはいとも簡単に還元していき、ダメージを起こしにくい。パリスさんの講習に置いて必要性を再認識させられた。単品での使用は至極限定されるけれども、リスクを考えたらやはり必要な還元剤なのだろう。

2013年6月23日日曜日

矯正と軟化と体力温存

矯正においては現在チオ+システアミンの低アルカリ高還元処方が主流で、理由としてはハイダメージに対するリスク回避と質感の良さ、お手軽で手間がかからないのがポイント。注意点としてはシステアミン濃度の使い分けと、チオ側のアルカリ度の調整。当然の事ながらシステアミン濃度が高ければ低アルカリに調整しても表面軟化は進むので、ある程度太くて耐久性の高い毛髪かつ癖が伸びにくい毛質に有効。逆に細くて弱々しい髪質にはシステアミン濃度が高く、高アルカリの条件下では軟化が進みすぎて取り回しの難しい状態になるので、システアミン濃度は下げたほうが軟化が進まなく取り回しが良い。いずれにせよチオとアルカリの関係性がある為、毛髪体力を温存せざるおえないタイプの矯正にミックス還元は配合でのシビアなコントロールが必要。酸性矯正はアルカリタイプのチオを最初の短時間で浸透させ、水洗後に弱酸性域のチオを2ステップで処理する為、手間はかかるが毛髪の軟化をさせずに必要最小限のダメージで施術する事ができる。

2013年6月21日金曜日

TGSの考察

一時期彗星の如く現れ、疾風の如く消えて行ったTGS(チオグリセリン)感作性が強いとされ、手が痒くなった美容師が多いせいだったとおもう。最近になってハイブリッド還元剤(4種の還元剤ミックス)として私の好きなルベルあたりで出してきましたが、かかり具合がすこぶる良い。私の主観だとTGSは髪の油分を一時的に抜き去り、その作用で毛髪を軽くする。軽くなった毛髪はリッジを出す恩恵を得るが、リスクがないわけではなく、ダメージ毛の毛先に対して強烈な硬さと乾燥が発生し一時的にゴワゴワになる。これは前処理を徹底し薬剤選定も弱くすれば回避することができる。ただし、重い処理をするのはお門違いでTGSの良さを消してしまう。ダブル還元も私はナンセンスだと思う。ダブル還元してしまえば、ハイブリッド還元の意味がなく、なんの為のハイブリッド還元かといえば、一発で綺麗にかける為にあると私は思う。

2013年6月20日木曜日

矯正についての閃き

東北も梅雨に入り、矯正のシーズンがようやく到来したようです。私のお店では矯正は4種ありますが、パーマのお客様のほうが多いという嬉しいやらなにやらですが(笑) 還元剤について書いた記事を読み返した時に、頭の中で一つ閃きがありました。それは熱とストレッチを同時に行った場合、(この場合の熱は圧縮蒸気です)クリープ作用が極限に短縮され、水分を保持したままストレートになるのではないかという仮説です。直元工業の圧縮蒸気の機械にアイロンがあった事を思い出し、閃きました。これが実現すれば、アイロン焼けの心配もなく、いまよりも安全なストレート技術になるはずです。乾燥工程も必要になりそうですが、ブローのみでいけそうですね。薬剤はシステアミンとチオ少々といったところでしょうか。いずれデモ機を借りてチャレンジしてみたいと思います。

2013年6月19日水曜日

ヒラメキ+コウドウ×チエ=イノベーション

今年の一月頃の話。パーマ馬鹿を集めたFBサークルではディアリーブロー矯正の話で持ちきりだった。ブロー矯正は還元力が必要なのでかなりヤバ目の還元をしないと伸びないという内容だった事までは覚えている。自分はやらないと思っていたので、皆とは別の事を考えていた。状態の悪い髪にヘナのタンニン酸が加わり収斂する。状態が悪いのはある程度広がっている状態なので、収斂時にロッドを巻いたらパーマがかかるのではないかという妄想だった。そこに、スカイスパ渡邉氏が以前からタンニンを利用したパーマの文献を読んでいてタンニン架橋のパーマをやり始めたのがタンニンパーマの始まり。そこに美容界の賢人MAGOさんの比類なき知識が加わり現在のタンニンパーマプロジェクトが出来上がった。そして今、新たなパーマとして注目を集め始める。何気ないヒラメキ+あくなきコウドウは賢人のチエを得て何百倍にも力をつけイノベーションを起こす現実を目の当たりにした瞬間だった。まだ小さな光だけれど、いずれ大きな光になるかもしれない物語。

2013年6月18日火曜日

RE-PERManenTwAVE

ご年配のお客様や髪にボリュームがほしいお客様は比較的サイクルが短く、毛先にウェーブが残っている場合が多いですが、この場合はファーストのシステアミンを増粘してストレッチした後再処理するか、グアニジルシステインでウェーブ箇所をブロックする方法、クエン酸でPHを下げる方法があります。ダメージを考慮しますとグアニジルシステインですが、これを応用するとアップムーブと同じ事ができます。根元以外にグアニジルシステインを塗布し毛先を外して根元だけ細いロッドを巻きつけます。短くてアップムーブが巻きにくい髪に有効です。お試しあれ。次回もお楽しみに。

2013年6月17日月曜日

二剤について

前回は少し思考しないと難しい内容でしたが、私の考え方が全てではこざいませんので自分の流儀で還元コントロールを手に入れて下さい。

二剤についてですが、メーカーさんでも色々な配合がなされていまして、コンプレックスを利用したものや強酸化のもの、はたまたアルカリブロム。ブロム濃度も様々であります。

中でも私が好きなのはエアシルキーの二剤で、コンプレックスが起こるので質感がいい事とブロム濃度が低めに設定してありまして、急激な表面酸化が起こらないために内部まで浸透酸化しやすいと考えています。これはアルカリブロムに近いものではないかなと。やはり還元したものはしっかりともどしたいので時間も20分ぐらい置きます。一剤にしても、施術内還元時間がクリープ含め15分程度反応させたほうが持ちの部分で違うかな〜と感じでいます。なので5分程度の還元、クリープ5分程度では急激な処理なので戻りも速いかなと。低アルカリでしっかりと処理してしっかりと酸化する。私はこれが今のベストであります。次回もお楽しみに。

2013年6月16日日曜日

還元コントロールとウェーブ形成率を支配する

前回はお役にたつかわからない未知のパーマ技法の紹介でした。

今日のお題還元コントロール。太くて多い毛の場合はチオなどでいけばいいので時間の根気さえあればなんとかなりますが、細い毛やダメージ毛に関してはかなり慎重にいかないと失敗をしやすいですよね。ここでの還元コントロールというのは前回お伝えした還元剤でのコントロール以外のコントロール、ウェーブ形成率についてです。

通常、デジやエアウェーブにおいて、コールドパーマよりも還元は強い位置までコントロールしますが、これについては毛髪の芯に近い部分まで還元を行い、熱により内部の方向を再編成しているものだと考えています。つまり、チオで強還元して、コールドでの還元範囲、浸透領域を超えてしまった場合、髪の内部の構造が乱れて髪の方向性に一貫性がなくなります。

その場合にアイロンで方向を整えるのが矯正です。これは私の考えでいくと毛髪の伸縮を利用した固定であり、エアウェーブやデジタルの場合にも乾燥と熱が加わります

水分により膨潤した状態をロッドで固定し、乾燥する事によって毛髪が収縮し、伸張した毛髪に戻る力が加わる事で髪をのした状態になります。

そこに熱が加わることによって矯正やブローに近い事が行われていると考え、また、熱固定により多少の架橋的な性質を示すものだと考えています。

つまり、還元率の高さと加えた熱の温度が毛髪の構造を変える力が強く、ドライ時の復元力に正比例するという事実が成り立ちます。ただし、これは毛髪の総タンパク質量で限界があり、豊富なSSを含む毛髪であればある程度の熱量の高さにも耐えますし、還元できる量も大きいので再現性の点では優位な位置にありますし、際限なく反応するのではなく、毛髪の太さ、ダメージによりランダム性のある限界点が存在します。

以上の事から私の考える形成率を決定付ける最終的な要素は大きく6つ 

1、ロッド径 

これは還元率と熱をどれだけ利用するかでも変わりますが、要素が少ない場合はロッドサイズを下げて低還元での曲げを利用したパーマが有効になります。これには熟練した技術が必要ですが、意外に知られていない技として2剤酸化前の巻き直しがあります。クリープ前に入れる場合もありますが、私はクリープしてしまうのであれば曲げの緩和が働いてしまい効果は薄いと思います。

2、ロッドに巻きつけた伸張性(2剤前の水分量も関係する)

デジやエアーについての考えは上に記述したとうりです。コールドの場合、水巻してから塗布するものと還元終了してから巻き始めるクリープとでは、ロッドに巻いた時点での伸張性が変わるのと、薬剤浸透中のウェーブ形成がロッドONの状態のほうが上がるため、形成率と再現率の性質に違いがでます。

水巻は形成率は高くドライ時のウェーブギャップがあるため、やや丸みを帯びた仕上がりになります。

還元終了後の巻きは形成率は弱いですが、伸張性と還元幅が大きいためウェーブギャップは少なく、ニュアンスカールや計算通りの仕上がりになります。


あくまで乾燥したほうがドライ時の再現率に関係するというところですが、これは水巻時点でのテンションに関する意味合いも説明できるかと思います。伸張したまま水分が飛ばないとウェーブ効率は上がりますがダメージに関する点で、過度な伸張はさけるべきと思います。


3、クリープ

アルカリ状態のほうが反応は高いので、水洗し切れなかった残留アリカリを利用していると考えますが、還元はあくまで移動準備段階であり実際の移動はクリープという移動時間が必要で、熱により反応速度が速くなります。水巻による還元段階での移動もこれに含まれると考えています。

4、熱固定

SSの豊富な毛髪はコールドでも形成率が落ちにくく仕上がりに問題はありませんが、ダメージしてしまった毛髪の再現率をどう処理するかを考えると、回転数を上げてしまうのでは再現性に欠け、クリープのみでもやや心もとない場合があります。そこで、熱固定による架橋的な性質を利用して乾燥の再現率と熱固定の再現率を合わせた強さを利用します。現実にデジタルの再現率は高く、これは同時にクリープと熱固定と収縮による形状記憶ウェーブをしていると考えられます。

5、毛髪の体積

なによりここが重要で、体積と残存SS、ダメージ度合いでウェーブの再現率と反応に対する耐久率がかわります。

6、還元率

いうまでも無くどの範囲で動かすかで還元率が決まります。




今回はちょっと長くて読むのも大変ですが、独自理論ですのであくまで創造の範囲を超えませんが、この要素をフル活用することでお客様に喜んでいただけたら幸いです。

次回はまだお題はきまっておりませんが読みやすい記事で休憩をいれたいと思います(笑)、ご期待ください。






2013年6月14日金曜日

未知の領域

前回はパーマデザインのアプローチの方法として大きく2つ、魅せる巻き方、収める巻き方でした。
これに加えてステムを利用する。アッパー気味に巻くと巻き収めにカールが出て、ダウン気味に巻くと魅せる巻き方のようにリッジが出てきます。あくまでデザインをする上での1要素ですが、ここを考えながら巻くのとではクオリティーに関わってきます。
話は変わりますが、私が組合のパーマ講習を担当した時に回転数と塗布のラインというものがありましてそこから学んだことの応用として考えたパーマ技法をご紹介します。

これはその塗布ラインと回転数を集約して、塗布段階でロッドサイズと塗布コントロールにより全て巻き込んでも思い通りのパーマスタイルを決定してしまうという画期的な方法ですが、一つ問題がありまして、計算がショート用であることと、W還元による塗布をしてしまうと変わってしまう所です。更にこれを実現しようとすると、強めの還元が必要である事と塗布しない部分がある事により、モチに関しての問題がある事です。現在は私の中でお蔵入りしておりますが、システムの穴を埋めることができれば、多人数サロンでの活躍が期待できます。こういう世界もあるという事だけ知っておいてください。次回は還元コントロールとウェーブ形成率を支配するです。お楽しみに


2013年6月13日木曜日

パーマ形成のデザイン

前回は私の描くパーマデザイン思考というのは2種類あって、例えばロングの場合、長さに対して毛先数センチにウェーブが出るわけですがこれを視野に入れて大きめのロッドで巻くか、または毛先のみにアプローチをかけて細いロッドで巻くか。これはパーマデザインとしてかなり別物になってきます。というお話でした


同一の長さと仮定して左右のウェットでの差はほとんどありません。これは左右別のアプローチで同一のウェーブを目指したものですが、向かって左は毛先のみのアプローチ。向かって右は根元から巻き込んだアプローチです。左は下のほうにぽってりとしたウェーブができ、可愛らしい印象になりリッジ径が小さくなります。右は根元から毛先まで一連の流れでスリークな印象、根元から誘導する力がかかるため、スタイリングがやりやすく可動範囲も抑えられています。ショートヘアの場合は根元の動きがプラスされるため若干変わりますが、ロッド選定の1要素としてヘアデザインをする指標になります。私の場合これに独自の巻き込み方法でまた変わった印象を出したりしますが、それはまた追々公開したいと思います。熱処理、還元量、毛髪強度でもまた変わってきますが、大まかな話として今回は魅せる巻き方、収める巻き方についてでした。次回はまだお題は決まっていませんが、パーマ形成のデザインの延長の路線でいくかと思います。お楽しみに。           



                                      

2013年6月12日水曜日

パーマ形成のデザイン(前回の補足含む)

前回は還元剤についてのanionの思考をご紹介しました。判りにくい事もあったかと思いますので補足として一番重要な事を書いておきます。高還元低アルカリでのシステアミンベースの還元で一番重要とされる部分、多分どのパーマにもおける事ですが還元チェック俗に言うテストカールの部分です。ここを見誤ると理想のカールとはかけ離れてしまいます。そこで私のチェック方法をこっそりお教えいたします。まず、全体にロッドを巻いてからデザイン的に見えない部分に細いロッドを巻き付けます2~3回転ぐらい。私のカーリングはノンアルカリのシステアミンつけ巻きが基本ですから、巻き終えた時点でどの程度のループを描くか確認します。大体は巻き終えた時点でロッドサイズの5~6倍程度に出ます、ハイダメージで4倍程度。これが同一ループを超えてしまうと矯正の還元になって腰が折れてしまうので、もう少し早めで上げます。コールドであればアクティブあわせて大体2倍~3倍これはけっこうしっかり目なので4倍のアクティブ即流しからクリープに入れて細めロッドで状態温存でかけるか、2倍の仕上がり想定ロッドでかけるかが変わります。これはデジやエアウェーブ、縮毛矯正にも応用が利きます。(ふんわりカールであればこれに限りません)還元度合いによりロッドサイズが変わってくるという事です。逆を言えばある程度還元が弱くても細いロッドでかけることで毛髪体力が温存できます。

パーマ形成のデザイン

まったくもって大それたお題ですが、私の描くパーマデザイン思考というのは2種類あって、例えばロングの場合、長さに対して毛先数センチにウェーブが出るわけですがこれを視野に入れて大きめのロッドで巻くか、または毛先のみにアプローチをかけて細いロッドで巻くか。これはパーマデザインとしてかなり別物になってきます。今回は補足がありましたので続きはまた次回お楽しみに。


2013年6月11日火曜日

リアルワークでの還元剤について自分なりに考察

還元剤について、パーマは人をハッピーにする事ができるツールであると私は確信しております、しかし理解できているようでなかなかというものが作りにくいのが現状です。といいますのも、メーカーさんの出す商品サイクルがとても速く、一つのパーマ剤を使いこなす以前に変えてしまう現状、あのお客様にはよかったけど・・今回はダメだったというパーマ剤に対する嫌悪感、知識不足。このサイクルを断ち切らないと、いつまでたっても材料コストがかかってしまいますし、満足のいく安定した仕上がりは実現できないでしょう。ここではanionというフィルターを通して1美容師の視点から整理できていただけたら幸いです。

還元剤は大きく分けて2種類

チオ系(チオ乳酸含む)
昔から使われてきた還元剤で、PH、アルカリがあがる事でパワーアップしていきます。長時間置く事で毛髪を収縮させる力が強く、主に縮毛矯正、油分バランスの強い髪や太い毛髪に対しても浸透し続ける特性を持ちます。

システアミン
近年になり使われ始めた還元剤で、チオと同じくアルカリが上がる事で急激にパワーアップしていきます。長時間置いても毛髪を収縮させる力は弱く、主にパーマ全般に対してのリッジのある柔らかなカールが出しやすく、乾いてもダレにくい特性があります。反面、時間が経つとウェーブがある程度もどってしまう特性もありますが、現在最も使われる還元剤です。

シンプルに考えてこの2つがあればとりあえずは仕事として成立します。

その他の還元剤

シス
これも昔から使われていますが、単体としては形成率が弱く、髪を柔軟にする特性があります主にダメージ毛に使われますが、形成不足の観点から、複合的な使い道が多いです。

サルファイト
昔はトリートメントパーマとして登場した還元剤、高アルカリ低還元といった特性を持ち、高い熱による処理が必要になります。現在ではやはり複合的な使い道で結果をもたらす場合が多いです。

酸性チオ
近年になってつかわれ始めたチオの中~酸性化されたバージョンで、主にワインディングローションとして使われる事が多いです。中性ですとウェーブ形成力はそこそこあり、シスとシステアミンの間の強さといったところです。酸性系の薬剤は総じて毛髪が収縮せずにボリュームが出すぎる傾向があり、使用は難しい還元剤です。

チオグリセリン・スピエラ・GMT

酸性でも効果を発揮する還元剤類で、使用するにはアレルギーの観点、毛髪診断の観点からシビアな判断が要求されます。主にハイダメージへのウェーブ形成、や他の還元剤の浸透を促進するために使われます。

これらの還元剤はサブ的な意味合いが強く、ちょっとしたパワーや質感の補足としての使用が望ましいです。

美しいパーマの還元領域

皆様は多くのケースでシステアミンを使用する事があるかと思いますが、私はシステアミンの浸透領域が毛髪中心に入り込みにくい為に髪の中心のSSを乱さず、ウェーブ形成状態を維持しやすい為に仕上がりが美しいと仮定しています。現に健康毛に対してはシステアミンでは浸透しにくく、アルカリ度を上げてしまうと高還元+高アルカリで高速にダメージが進んでしまいますし、そういったケースではチオを使ったほうがダメージ毛にシステアミンを使った質感に近くなります。これはシステアミンの持つ還元剤特性の影響もありますが、健康毛に対してのチオの反応が普段システアミンが還元している領域に留まる為と考えています。浸透しすぎずに、しっかりと還元する事が美しいウェーブの形成に関わると仮定することができます。


失敗しない為の考え方(ウェーブ・還元剤編)

毛髪の状態チェック

太さ・メラニン量 
ハイトーンになっているケースや元々色素が薄い人、白髪などは中身がスカスカになっている場合が多いのでシステアミンのみの施術。逆にしっかりした髪質の人はチオをアクティブにチョイスしたほうがよい結果が出やすいように思います。

クセ毛
自分の癖が出やすい為、還元はチオをミックスする必要性があり、比較的内部還元+熱処理が必要な場合があります。ロッド径も上げる工夫が必要です。

アルカリダメージ量
ドライ時の引っ張り強度、ウェット時の引っ張り強度を測る。ドライ時点、ウェット時点で伸びるようならパーマはかなり減力した薬剤選定が必要。

上記チェック要項から今の毛髪レベルを極端な毛髪を除き、約3段階程度に割り出します。基本はノンアルカリタイプの中性システアミンをワインディングローションとし、濃度約2%~5%です。(5%の場合中性ノンアルカリタイプ)質感調整で後からシステアミンをつけて放置する場合もありますが、チオのコントロールが難しい為ノンアルカリ(低アルカリ)システアミンでチオ浸透の制限をかけます。

ダメージレベル0
油分バランスがしっかりとしていてキューティクルもしっかりしている髪。この場合は前処理なしでのワインディングローション、システアミン3%~5%程度(濃度は太さに応じて)アルカリ度は低めの物をドライ塗布で巻きます。(一般的には一番真ん中のシステアミン)アルカリ度数が高い物ですといきなりボロボロになるケースがあるのと、膨潤によりかかったと勘違いしやすいため低アルカリがオススメです。プレシャンプーを洗浄力の強いアルカリ系シャンプーで油分を取り除いておくとワインディング後に曲がっているケースもありますので、やや細めのロッドで巻くとアクティブ剤を弱く設定できます。
アクティブ剤(後乗せする2番目の強い還元剤)はワインディングローションでの曲がりから想定して3種類チョイスできます。ある程度アルカリが高い物のほうが速く浸透しますが、高アルカリシステアミンだけは還元力が強過ぎて水洗後に失敗の要因になりますのでチオを使っていくほうが懸命です。アルカリ剤の組み合わせには大まかに3種あり1、アンモニア+アンモニウム系(立ち上がりが速く後は横ばい)2、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム系(立ち上がりが遅く、後から急激に強くなるタイプ)3、モノエタ系(反応が一定)いずれも一長一短で、弱すぎる物を使ってしまうと時間だけかかってしまいますので、ある程度パワーのあるものでチェックをマメにすれば失敗することはまずないでしょう。

ダメージレベル1~2
ややパサつきを感じるが腰はしっかりしている髪この場合も基本前処理は要りませんが、質感調整で軽めの物をつけるといい結果が得られやすいです。定義としては1カラー~1カラー+1パーマ毛。カラー毛基準なので薬剤の浸透経路はある程度確保されています。ということはプレローションはアルカリの必要は無いので、システアミン濃度3~5%アルカリ度2~0%程度でいきます。考え方としてはにチオモノエタ系か炭酸アンモ系(短時間で上げることで穏やかな反応で終わらせる)で浸透させていきます。プレローションを使う意味合いとしては、複合ダメージの検索があり、毛先など弱っている部分はプレのみでかかってしまう事もあります。いわば安全装置のようなものです。ですから、塗布段階で薬剤の塗りわけという事や毛先の前処理というものがこのレベルから必要になる場合もあります。アクティブ剤はプレの曲がりにもよりますが、基本アルカリ中高程度のシステアミン・チオ混合タイプをそのまま使用するか反応の穏やかなチオ剤を使います。考え方としては低アルカリシステアミンが浸透できるか検索してからチオとアルカリが階層を深めるイメージです。

ダメージレベル3~4
パサつきがひどく毛髪の状態が細い、元は太いが、メラニンがスカスカで腰がない状態、頻繁な白髪染めやホームカラー、プラス年齢による毛の腰がない状態。実質このレベルが一番失敗しやすいかと思います。考え方としてはシステアミン濃度3%アルカリ度3%~システアミン濃度2%アルカリ度0%の範囲で考えますが、この場合薬剤の浸透を阻害しないと失敗するケースが増えてきます。特に触れただけで髪の柔らかさが出ていたら浸透しすぎ注意です。ここで活躍するのが高分子架橋、低分子による薬剤浸透の阻害でシステアミンの浸透を抑えることにより安心して施術することができます。特にハリが出にくい髪に対してはカチオン系高分子の相性が良いです。架橋さえしてしまえばアクティブは低アルカリシステアミンで安心して施術ができます。

最近ではハイブリッド還元剤の流行もあり、それを使っていればまず失敗のない施術ができるのも事実で、私も最近は使用チェックを始めましたが凄く綺麗にかかります。ただ、ハイブリッドに知識を任せて施術してしまうと応用が利かなくなりますので、思わぬ失敗を招きかねないと思います。自分なりの主軸となる理論を形成したうえでのハイブリッド還元剤は鬼に金棒ですから、是非還元剤の特性を自分で確かめる事をしてみてください。次回は施術プロセスでのパーマデザイン(予定)です。ご期待ください。